☆第三話☆

あたりはとても豊かな自然環境だった
何年か前から人間が手を加えた部分が
やけにこの環境にマッチしていない
セキュリティー式の自動ドア
スイッチによる開け閉めが出来るドアがある
森エリアというだけあって草木が多く
蝶が飛び交っている部分も見られる
異変が起きたとは思えなかった

キルヒはあたりを見回すが
特に動物も人間もいない草木と蝶だけだ
キルヒは何を思ったのか
おもむろにハルベルトをふってみた
基本的に武器は三度まで
攻撃するように教えられている
ブンブンブンと規則正しく宙を切る音がした
「なんか かっこ悪い気がする・・・
やっぱあの大剣が欲しかった・・・」
キルヒはかるく舌打ちすると
前方にあるスイッチ式のドアに向かって歩き出した
とりあえずこの森エリアを一回りし
異常なところがあれば報告しなければならない
ドアの目の前に来て、横にある
スイッチを押そうとした時
後ろからモコモコって
何かがもりあがるような音がした
「ん?なんの音だ?」
キルヒは振り向くと目を疑った
そこには逝っちゃった目をした奴らが5匹
地面から不意に現れたのだ
一応目の錯覚かな?とも思ったので
もう一度目をこすって、それを見る
やはり、何も変わっていなかった
それはブーマと呼ばれる 大人しいはずの動物たちだ
「君達、目がイっちゃってるけど
大丈夫デスカ? 襲ってきたりしないよネ?」
言葉は通じないとわかっているが一応話してみる
「グガアアアアァ!」
ブーマたちは雄叫びで返事をすると
キルヒに向かって凄い形相で襲いかかってきた
「うお!?マジ?」
なんとなく、危ないものを感じ逃げるキルヒ
「グガァァァァー」
追うブーマ達
「なんで襲ってくるんだよー!!」
さらに逃げるキルヒ
「グガァァァー」
普通に追ってくるブーマ達
そんなこんなでブーマ達とキルヒの
総勢5匹+1人の鬼ごっこが数分間続いたのだった


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