<2>
去っていく太郎を見送った。
私は、泣くのをやめた。
おっぱいを揺さぶって、夜道に脱ぎ散らかした
衣類をかき集めた。
切迫した感じをだそうと思って、急いで
脱いだのに、太郎は私のことを無視した。
ちょっと哀しい。
「おう、なつ美。どうだった?」
岡本が、児童公園から出てきた。
「全然駄目。無視されちゃった」
「そうか。手強い奴だな」
「あたし、恥ずかしかったよ。手震えた」
痩せこけた岡本の目は、ギラギラしている。
岡本とは、公衆トイレで犯されて以来のつき合いだ。
「嘘つけ」
岡本が笑った。
いつだって寂しそうに笑う。
岡本になら、笑われてもいいと思った。


<次へ>
<前へ>
<目次へ>