7

 少女の年の頃合は、13、4。
 金髪碧眼。
 青い服のニューマンのハンター。
 娘の年の頃合はちょうど16歳くらい。
 黒髪のおさげ髪、瞳は黒目がち。
 赤い服のニューマンのフォース。
 お互い名前は知らない。
 当然だ。
 ふたりはこのシャトルの格納庫で、お互い初めて顔をあわせ、自己紹介すらすんでないのだから。
 「うあ、やばっ」
 娘は顔を背け、少女と目をあわさないようにそっぽを向く。
 「ん?ねえ、どこかであったことない?なんかどっかでみたおぼえあるの……」
 少女は娘の顔をのぞき込もうとするが、娘は拒否するように、というかあからさまに、拒否の意志をしめし、そっぽを向く。
 「ん?」
 少女は小首を傾げ、そっと娘の手を握る。
 娘は虚をつかれた表情で少女を見、そして見た。
 自分の指が少女の手とその意志によって、あからさまに本来曲がる方向とは、逆向きに曲げられていくのを……。
 「痛い痛い痛い」
 「とりあえず、1本づつ折っていけば、そのうち思いだすでしょ」
 「いたいー」
 「指は10本もあるから、ゆっくりおもいだせるね♪」
 天使とも悪魔ともつかない無邪気な笑みを浮かべ少女は言った。
 「でも、とりかえしのつかない状態になる前に思い出すと、なんかおとくかもしれないよ?」
 「ち……ちと、まって」
 「ん?」
 にっこりと笑い少女はさらに力をこめる。
 「ねえ、とりあえず手を組まない?」
 「なして?」
 さらに力をこめる。
 「イタタタタ、イタイ。あなた地上に降りるために、シャトルがいるんでしょ?わたしも欲しい、どう?利害はいっちしてるでしょ?ねっ、ね?」
 「してるだけじゃん」
 少女の答はあっさりとしていた。
 「ああ、とにかくあなただって、使命をいちはやくはたさなきゃいけないはずだし……あっ」
 娘は固まった。


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