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 「えっと、のりこむにはどうすればいいのかしら?」
 うろうろと、シャトルの回りを、とりあえず謎の少女はうろついている。
 格好からさっするにその少女は、テクニックと総称される技術を専門的に行うフォースと呼ばれるもの達の一人だろう。
 テクニックとは、わかりやすく言えば、科学的に魔法のような現象を引き起こす技術のことで、機械のサポートさえあれば、ある程度の身体的能力があれば、だれにでも収得可能なのがその特徴である。
 「えーと、じいとか動かしてたのを、見てたんだからできるはずなのよ……うんうん」
 謎の娘がうんうんとうなずくたびに、その長い長いおさげがゆれてはねる。
 彼女はてとてとと、歩き出した。
 そして、おもむろにそのおさげを掴んでひっぱる。
 「うきゃあ、なにものなのさ!」
 謎の娘はおおきく跳び上がると、大声で叫んだ。
 「うるさい、さわぐな」
 蹴り倒し、そして踏む。
 「痛い!痛い!やめてよ、やめないと承知しないわよ」
 とりあえず、娘のあげる抗議に、耳を貸す素振りも見せず、彼女は地面に這うように伸びるその長いおさげを拾い、おもむろにひっぱる。
 「いたー。やめてやめて、やめてください」
 娘の抗議が罵声から泣き声に、変わったところで彼女はこう言うのだった。
 「はろはろ」
 と……。
 「へ?」
 一瞬娘にはそれが何なのか、理解できなかったようだ。
 次の瞬間、彼女はその全体重をのせ、ぐうりぐうりとばかりに娘の後頭部を踏みにじる。
 「痛いー痛いよーお母さまー」
 「挨拶だよわかんない?」
 笑顔で言う彼女。
 「うう、わかりませんでしたー。ごめんなさい」
 なんで、謝らなきゃいけないんだろう。
 そんな疑問が、いま娘の頭の中で渦巻いていることだろう。
 とりあえず、娘は身をおこし、床にぺったりと座り込んで、自分に理不尽な暴力をふるったその相手を見上げる。
 娘は一瞬、ぽかんと彼女と見つめあう。
 娘の目は驚愕に見開かれ。
 彼女はいぶかしげに眉をひそめる。
 そして……。


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