12

 「さてさて」
 どうしたものか。
 市民の憩いの場。
 居住区の公園。
 そのベンチに身をあずけながら、彼女はため息をつく。
 シャトルはキープすらできなかった。
 たぶん、これによってシャトルの警備のみならず、軍の警備はよりいっそう強固なものとなるだろう。
 ……まあ、いざという時のためのって、奴だしね。
 残念ではあるが悔しくはない。
 「あ、こんなところにいた」
 「あや?エースワイルド……はろ♪」
 彼女は目の前に現れた長身の青年に向かって無邪気に挨拶する。
 「はろ♪……じゃ、ない。お前またさわぎおこしたな?」
 多分、軍事施設での騒ぎのことだろう。
 ついでに、腹いせに仕込んでおいた爆弾を起爆させてみたりしてたりする。
 「うん♪」
 素直にうなずく。
 「……をい」
 エースワイルドの目が据わっている。
 「気にしない気にしない。も〜まんたーい」
 「あのなあ……。まあ、すぎたことは仕方ない」
 「そうそう、仕方ない」
 「仕方なくないが、仕方ない」
 「え〜」
 彼女は不満そうに抗議して見せる。
 「で、とりあえずだ。どうやら転送装置が地上にとどいたらしいぞ」
 「へえ」
 「で、どうやら総督府は俺達ハンターズに惑星の調査を代行させる腹ずもりらしい」
 彼女はにんまりと笑う。
 「それは、やかった」
 「そうだな……、で、どうすると聞きに来た……が、返答は聞く必要がないようだな」
 苦笑しつつ、エースワイルドは言った。
 「もっちろん、それじゃいこーか」
 彼女は走り出す。
 「って、待てよ」
 そして、エースワイルドも。
 そう、かの眼下の楽園への道は開かれたのだ。
 ハンターズと呼ばれし若者達の前に。
 そして……。


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