『凄絶』 第三話


「ほれ」

 ぺち。机の上にカードを投げる。ジョーカー。
 にやりと笑う男。

「だぁ!? そりゃねーだろぉ!」

 呻くもう一人の男。頭を掻きむしって身悶えする。

「ヘッヘッ、んじゃぁ今晩の巡回はオマエな。任せたぜ相棒」

 ぽんぽんとその肩を叩く男A。
 うながすように、出入り口を手で示してやる。

「チックショウ・・・」

がちり

「・・・・・・・・・!?」

 ドアが・・・この建物の入り口のドアが開く。
 まるで風に押されるようにゆっくりと・・・。

ギィィィィィィ・・・・・

 息を呑み、それを凝視する男A&B。
 そろりそろりと、武器へと手をのばしていく。

バタン・・・

「・・・誰だ?」

 誰何したのは、男A。

「オレか?」

   答えるのは、開け放たれた入り口に立つ、黒ずくめ。

 黒ずくめが続ける。

「オレはらせつだ」

 瞬間、黒ずくめ・・・らせつが動く。

どす

 一瞬で男Aの目前まで接近し、腹に拳を叩き込む。九の字に折れる男Aの身体を無造作に捨て、今度は男Bへ向く。

「聞いてないのか? オマエラの親分からよ」

 残忍な笑み。狂気すら覚えるほどの。

「ダメ親分だなぁ・・・。オレが・・・再教育してやろうか・・・?」



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