『来訪』 第ニ話


 結局、あの馬鹿から得られた情報は僅かなモノだった。小指の爪の先ほども無いちっぽけなハナシ。力尽きる前に口からずるりと漏れたような、たったの一言。

「『ギルド』」

 ・・・一瞬耳を疑ったが。

「ま、なんにしろ・・・」

 あくまで淡白に、そして皮肉げに。
 皮ジャンの内ポケからサングラスを取り出し、ソイツをかける。

「行ってみればわかるだろ」

 そして・・・陰険に微笑う。
 色眼鏡で目つきは窺えないが・・・雰囲気とニオイだけは、ピリピリと鋭くあたりを刺激している。

 彼の目の前には・・・
 『鬼門』と書かれた看板と、馬鹿巨大い建物が鎮座していた。



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