4、見えない自由


U・サーガ(以後 U)「どわあああああああ!!!!」

明るい日差しの下、森の小道からその叫びは聞こえた。

灰色のマント、茶色のローブと帽子、銀色の杖、黒い短髪、
歳は17、18といった所だろうか?

森の小道を100メートルダッシュの勢いで走り抜けている。

そして、そのすぐ後ろから追って来る赤い影。

ドラゴンである。

その身長は3階建ての家と同じぐらいと言えよう。
額に青い色の剣が刺さっている。
かなり昔に刺されたもののようだ。

この島国ソニアでこのようなドラゴンの成竜が
見られることは稀である。
よって、それを見ることができた者は幸運であろう。

U「不幸だあああああああああ!!!!!」

.....ここにいるひとりをのぞいては。

じつはというと、ついさっき、ドラゴンの住処と知らず、
ある洞窟の中にはいっていったのだ。
そこでごそごそしている内にドラゴンが帰ってきて...
まあ、あとはこの通りである。

U「くっそお!このままやられてたまるかあ!!
    わてかてシャッフル同盟のひとりだあ!!」

さっきまで逃げていた方向を振り向く。すぐ後ろに口を
広げたドラゴンがいた。

逃げながら編んでいた破壊の構成を最大威力で解き放つ!

U「手加減なしだ!!消えてなくなれえええ!!!」
 「死を司(つかさど)るハーデスの怒号を....
                  バナストォォオオ!!!!」

音と光と衝撃,,,そして絶対の死がドラゴンに襲いかかる!

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!

断末魔すらあげず、ドラゴンの巨体が空高く吹き飛ぶ。

ドガシャア!!

音と地面の揺れが同時に起こる。ドラゴンが落ちたのだ。
ぴくりとも動かないドラゴン。

U「やった...よなあ?普通、あの魔法を最大火力で撃てば
  ドラゴンだろうがなんだろうが墨になるはずなんだけど...?」
 「レジストしたのか?それとも硬い皮膚のせい...?」
 「まあ、なんにせよ、内臓はずたぼろだろうな...生きてはいまい...」

ドラゴンが音もなく起きあがる。
怪我どころか、こげ跡もない。

U「うそだああああああああああああ!!!!!!」

再び始まる鬼ごっこ。

U(ま...まて。落ち着け、わて。あの大火力の魔法
   くらって怪我ひとつナッシングなんて考えられん!)
 (とすると、この地にまつわる不思議な宝石...
       ジェイドの力でも借りてるのか?あの竜?)
 
Uの考えは当たっていた。竜の額に刺さっている剣に
埋め込まれているジェイドには魔法の効果を霧散させる能力があった。
つまり、魔法の力は効かない=Uに勝ち目なし。

U「くっそお!勝手にイコールの関係に結ぶな!!」

ナレーションに毒ずきながら他の手を考えるU。段々体力も
失われてきた。
一般的に体力がないとおもわれている魔法使いだが、
Uは平均以下である。
まあ、そろそろ血でも吐く頃だろう。
...ようするに、体力の限界であった。



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