21、ろくでなしのために
U「地獄より来(きた)るゲヘナの黒炎を...バーン!」
破壊の炎が空気と闇を切り裂き、魔法障壁に突き刺さる。
だが、障壁はビクともしない。
Uはそれでも魔力を放出し続ける。
バンパイア「ははは!やめておけ人間!そんなもので我が
魔法障壁はつらぬけん!!」
構わず、もう一つの魔法の構成を解く。
U「華々しく舞うフェンリルの閃光を...ガ―ン!」
稲妻が障壁を包む、もちろん炎もまだ出ている。
バンパイア「!?何!?」
ジオ「!?二連発!?」
おくやす「や..やるじゃねえか、Uの奴」
それでも障壁は砕けない。
バンパイア「ふ、そんなもの一つ増えた所で...」
U「憎しみより出でるヴァリトラの凍嵐を...コラン!」
Uの額のあたりから無数の巨大な氷弾が放たれる。
稲妻も炎もまだUの両手から出ている。
バンパイア「オオオオ!!??」
ベンリイ「3段魔法!?」
カルア「そんな...ばかな」
回復魔法をカルアにかけながら、ベンリイが言った。
バンパイアのいる周りの地面と共に、障壁が揺れる。
しかし、それでも障壁を砕くには及ばない。
Uの顔にはっきりと疲れの色が見える。
これは魔力の放出による疲れではなく、脳の酷使による
疲労であった。
バンパイア「ク..ククク..これまでのようだな..
それ以上やれば、脳が異常をきたし、
廃人になるぞ!!」
というよりも、普通は2段詠唱の時点で頭に激痛が走り、
魔力の集中どころではないのだが...
4人の顔に諦めの色が浮かぶ。
だが、
U「大地を断ち割るガイアの警告を......」
バンパイア「何だと!?」
おくやす「よせ!U!もういい!!」
ジオ「死ぬ気ですか!!??」
カルア「後は俺がやる!下がれ!U!」
ベンリイ「脳死は魔法では完治できないんだよ!!」
そう、脳の死は魔法では完治できない。
治せはするが,よくても記憶喪失、悪ければバンパイアの
言ったように植物人間になる。
そんな事は知っている。
U(...でも)
(.....やるしかないんだろ!)
岩石浮遊の魔法の構成をきしむ頭で編み上げる。
U「グランダァァ!!!!」
Uの眼に迷いはなかった。
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