2、ひとりぼっちで泣いた夜
U「ははははははーーーーー!!!!見たかあ!!!
このでたらめな運のわるさをーーーーーー!!!」
走りながら少し涙目で叫ぶU・サーガ(以後 U)
行き先はとにかく外。
泳ぎには少し自信があるが、このダボダボのローブで
泳げるかどうか、賭けではあった。
ドアを蹴破り、外に出る.....が、
そこには無数のガイコツが手に手にいろんな武器を持ち、構えている。
Uは頭の中で魔法の構成を編み、呪文を唱える
U「地獄より来(きた)るゲヘナの黒炎を...バーン!!」
無論、この呪文に意味はない、ただ、魔法の集中という
あたりでは、意味がある。
と、いうよりも、音声魔法でないため、無言でも魔法の
発動は可能であるはずだが...
まあ、何にしろ、目の前のガイコツを一体、焼き尽くす。
凍らせてもいいのだが、やはり火葬だろう、と思ったのだ。
だが、そんなことを考えている暇はない。どうやって
このガイコツ達を掃討し、この幽霊船を抜け出すか...?
U「..町まであと2キロってとこかなあ..?
まあ..泳げるよな?」
Uの目に決意の火が灯る。
U「よし、決まれば、即行動!やってみるか!」
今度は先ほどとは桁違いの魔法の構成を編む。
U「悪いけど、このぼろ船ごと沈んでもらうぞ!!」
一体のガイコツが海兵チヨップを振り上げる!
どことなくスマイリーな海兵を思い出すU。
それに反応し、先ほどの魔法の構成を崩さずに、
もうひとつ、魔法を構成する。
二段魔法詠唱。
U「時間を束ねるクロノスの気まぐれを...トポルス!!」
ましてや、上級魔法である。そう、超短時間でおこなう
空間移動、いわゆるテレポートだ。
もし、二段詠唱を魔法についての知識がある者に話せば
笑われるだけだろう。
つまり、できるはずがないのだ、そんなことは。
理由は簡単である。魔法の詠唱には、膨大な集中力が必要なのだ。
魔法使いは魔法の構成を編みやすいように記憶の中に
魔法用の脳波のチャンネルを設けてあるので、他の職業の
人間よりも早く魔法の詠唱が可能だが、それでも魔法を
一度にふたつ詠唱するなど不可能だ。
だが、瞬間、Uの体は闇夜の中にうかんでいた。
そして、現れると同時に言い放つ。
U「ゼウスが御手(おんて)に眠る...」
その波動は海を震わせ、空気を砕く。
U「ケラウノスの一撃を...」
2キロ先のソニアの大陸にすら届く破壊の構成が。今。
U「ガラストオオ!!」
解き放たれる。
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