1、終わらない歌


港町チューリピオから船で揺られてどれくらいたっただろう…?
U・サーガは暗い夜の闇のなか、ベッドから顔を出した
トレジャーやアームズ、全て売り尽くしてやっと船代を
手に入れたのだが…その船がどう見てもさびたロートスと何かを
組み合わせたとしか思えない程のぼろ船で、(恐らく業者に騙された)
途中で沈むこと沈むこと..
まあ、何度か死を覚悟して、つかれきって寝込んだあと、
この大陸ソニアに着いたわけである。

U「…なんか、悪いことでもしたかな?わて...」

考えて、2秒で200個ほど思い当たることを心にうかべてからやめた、
あと3秒もあれば、4桁は思い出せていただろう。

よく見ると、床から海水がごぼごぼと出てきている...
この日、13回目の死を覚悟。
だが、もう肉眼で町の光が見えている。着くのが早いか沈むが早いか、
この涌き出るように入ってくる海水を見れば考えるまでもない。

U(...って沈むほうが早いだろ、これって!!)

ダッシュで客室(というか物置)を出て外に向かう!
そこで、ふと、周りの異変に気づく。

U(...あれ?)

昨日は感じていた人の気配がない。ひとがいないと、
より、船がぼろく感じる。
もしかして、もうみんな避難したあとかも知れない
だが...この海のど真ん中からどこへ?
いずれにしろ、舵を取っている人間はいるはずだ、そうでなくば
船が潮の流れや風に逆らって進むはずがない。

そう思って方向を操舵室に変える。
いやに暗い木の廊下を走り抜ける。間もなく、
操舵室のプレートが目に入る。
ノックをするやいなや、ドアを押し開ける。

U「...........」


....そこには、舵を取る人間はいなかった。いるのは、
海兵帽をかぶって、鼻歌を歌いながら、舵を取っている...

.....ガイコツだけだった.....

U・サーガは、頭蓋骨でどうやって鼻歌を歌っているのかを
疑問に思いながら、

この日、14回目の
死を覚悟した。



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