17、自分を変えることは無い


カルア(...本当にこいつか?)

剣を交差させながらカルアはかんがえた。
時々、この洞窟の近くの町で、若い娘がいなくなるという事件が起きていた。
その犯人がバンパイヤであり、この洞窟の最下層にいるという話をうけて、
カルア達が犯人の排除にきたわけだが...
いま、斬りあっている相手はどうみてもちがう。

カルア(まあ、混乱した村人が見間違えただけだよな?)

ベンリイ「ガ―ン!!」

デュラハンに稲妻の魔法が襲いかかる!
命中する寸前に避けるカルア。

ガシャアアアアアン!!!

デュラハン「!!!」

同時にカルアが叫ぶ!

カルア「裂!空!殺!!」

デュラハンの右腕が、持っていた剣と共に吹っ飛ぶ。
やはり、鎧のなかはがらんどうのようだ。
がららん、と、音を立てて剣と腕部分の装甲が落ちる。
だが、デュラハンの戦闘意欲は失われてはいない。
それを見越したカルアはトドメを刺すために
デュラハンに走り寄る。
デュラハンは左腕を突き出し、魔法をはなつ。

ゴオオオオオウ!!!

おそらく、バナンの魔法であろう。
その炎はカルアに向かって一直線に伸びる。
だが、カルアは止まらない。
右手に持つ剣で炎をなぎ払い、接近する。

デュラハン「!!!」

デュラハンのふところに飛び込んだカルアは囁く。

カルア「地獄で会おうぜ。」

   斬!!!

デュラハン「ーーー!!!!」

声なき叫びと共に、デュラハンの魂の力を失った
黒い鎧は文字通り崩れ落ちる。
勝負はついた。

カルア「...あんまり強くなかったな、こいつ」

もちろん、強くないわけない。
デュラハンは生前、力と魔力を兼ね備えた剣士が
首を跳ね飛ばされたとき、その怨念が現世に残り
鎧を動かしているものだ。
だが、カルアとベンリイには、弱すぎた。

ベンリイ「じゃあ、お宝、さがしにいこーよ」

カルア「おいおい、当初の目的忘れてないか?」
   「早くさらわれた娘さんたちをさがしにいくぞ」

ここが最下層なので、いるとしたら、ここにしかいない。
そう思ったのだろう。
その時、低い声が聞こえる。

おくやす「なーんだ。お前らも俺と同じ目的かい」

ベンリイ「じゃあ、おくちゃんも?」

おくやす(お。。おくちゃん!!??)
    「ま...まあな」
    「だったら協力して探しに行こうぜ」

カルア「ああ、それなら依存はないな」

ベンリイ「よろしくね♪おくりん♪」

おくやす「...おくりん...」

おくやすの言葉は抗議の声にすらならなかった。



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