11、何よりも温かく


おくやす「よおし、もうちょいで洞窟の最深部だぞ!相棒!」

U「いや、いつの間に相棒に...」

おくやす「じゃあ、心の友」

U「いや、さらに悪化した気が...」

おくやす「ならば、ポチョムキン」

U「相棒でいいよ...もう...」

いまごろは酒場でアラウンド・ザ・ワールドというカクテルを
飲んでるはずだったのに(酒は飲めんけど)、
どこでどうまちがったのやら...
理由は簡単だ、この大柄の男のせいである。
ドでかい両手剣を片手で軽々と振り回し、Uの視界を全てさえぎる
鷹揚な背中はすきだらけだ。
まあ、この巨人のおかげですいすいとダンジョンを
進むことができたのだが。
まだ会ったばかりだから当然だが、どうも謎だらけだ、この男。
あえて、一言で人に説明するのなら、そう。
人間核弾頭。
なぜか、それがぴったりくる。

おくやす「..俺が、信用できねえか?」

U「(当然だ)いや、そんなことは...」

おくやす「いいんだよ、いきなり仲間の押し売りみたいなこと
してパーテイにはいったんだからしかたねえ」
    「だが、俺はあんたの事を仲間だと思ってるからな、
わすれんでくれよ。」

そういって、豪快に笑うおくやす。
そういえばそうだ。彼が仲間になってから一度もUは魔法をつかってない。
何回もモンスターが襲撃したにもかかわらず、、、だ。
すべて、おくやすが前に出て蹴散らしていた。

U(そうか)

おくやすは最初からUのことを仲間だと信頼しているからこそ
背中は隙だらけなのだ。
後ろから来る敵はUが必ず倒してくれる。そう信じているからこそ..だ。
ましてや、後ろからUが裏切って殴りかかることなど、微塵も
かんがえていまい。

U(少し、評価を変えないといけないかな?)

その時、U達の周りにモンスターが現れた!

おくやす「きやがったな!!」

U「よし、後ろは任せ「おおおおりゃあああ!!!」

鬼人のように敵に斬りかかるおくやす。
またしてもUが動く間もなく、モンスターが全滅する。
無論、Uの担当だと思われる敵も一緒に...

おくやす「ふう!危なかったな!相棒!」

U「.......」

仲間や信頼の文字がガラガラと音を立てて崩れる。
こやつ、ただ単に運動しているだけだ。

U「....前言撤回...」

落胆したUのかすれ声は浮かんで消えた。



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