10、リンダ&リンダ


ぴちょん ぴちょん

暗い洞窟の中、水滴の音が響く。

U「あーあ、また道に迷ったかな?こりゃ」

水滴と共に少し高めの声が洞窟の中に響いた。
黒い髪に黒い瞳。灰色のマントの中には茶色のローブを着込んでいる。
年齢はちょうど17歳から18歳の過渡期といったところであろう。
頭にかぶった少し大きめの茶色い帽子の位置を直しながら地図を見ていた。

U「おのれえ、あの道具屋のおっさんめぇ...
このダンジョンのための地図だっていったのに世界地図なんぞ
売りつけおってぇ...」
 「あ、ここは帝国ゾルドかなあ?あ、チューリピオ見っけ。」

仕方なく昔いったことのある町や国を探すが、もちろん、事態は
悪化の一方である。

U「一回、町に帰ろうかな...」b
帰還の魔法の構成を編む。
だが、その構成はすぐ中止される。

斬!!

すぐ近くで何かを斬った音がした。
しかも、クリーンヒットした音だ。
つい先日、会ったばっかの人間にとても似た波動を感じた。

U「...なんだかとってもやなヨカーン」

そう感じたUはとっとと帰還の魔法を編みなおす。

????「はははは!その程度かモンスター!!」

なぜかこちらに語りかけるように男の大声が聞こえた。
とことん無視を決め込むU・サーガ。

????「いやあ、つよいぞ俺!うん、つよい!こんなやつが
パーテイにいたらさぞかし頼もしいことだろう!」

もはやひとりごとですらなくなってきた大声は足音と共に
大きくなってくる。
呪文詠唱にはいるU。

????「そんな俺が大ピンチ。なんと帰り道がわからなくて3日も
なんも食ってないときた!」

U「地と地を繋ぐ...」

すでに洞窟の響きで聞こえるのではなく、肉声で聞こえるようになってきた。
多分、後ろを振り向けば、その大声の主がわかるだろう。
だが、さっさと呪文を続ける。

????「だれか助けてくれる人がいたら命を捨ててその恩人を
まもるのに!!」

U「...カオスの聖櫃を...」

呪文を唱え終わろうとした時、すさまじい殺気を感じて反射的に
横によけるU。
Uがよけた後に巨大な両手剣がその場を切り裂き、その先の壁に
深く突き刺さった。
壁が一部、崩れ落ちたりもした。

U「!?どわあああああああああああああ!!??」

おくやす「よお!旅人!俺の名前はおくやすだ!ここであったのも
何かの縁!いっしょに旅をしようぜ!ちなみに食いもんとか
持ってないか?いやあ、腹減っちまってよお!!」

このうえない笑顔で語りかけてくるその大男はそこまで一遍に
しゃべってからUの背負っているリュックに目をつけた。
Uは頭の中にその男の名をインプットした。
危険人物パート2という言葉と共に。



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