『恥の意味ー前』
「え?」
少女は少し驚いて振りかえる。
女剣士の方は予想していたらしく大きくため息をついた。
「大根を食ったのはオレだ! オレは今ちょーど金を
払おうとしていたのに、随分と勝手なことを
してくれるじゃねぇか!」
騎士らしきその大男は
手の上で金をチャラチャラいわせて近づいてくる。
「い いえ そんなつもりじゃ、、」
「え〜〜〜〜 どうしてくれるんだこのおとし前はよォ?」
「じゃ じゃどうすれば許してもらえますか?」
「ふふぅ そぉ〜だな〜」
男はアゴに手をあててジロジロと少女をみる。
気が付くと野次馬が集まりだしていて
ことの成り行きをみている。
「おお そうだ! 3べん廻って"ワン"と吠えてもらおうか
そうしたらゆるしてやる。」
「!!」
例え誰であろうと、人前にそのような姿をさらすは
屈辱である。それが女性であるならなおさらだ。
「ふふ、、どうした ん〜〜〜〜?」
「、、、こいつ」
女剣士の手が腰の剣にのびる。
それに気付いた少女はそれを無言で制し、
一歩前へ出る。
そして『廻った』、、、というより『舞った』と
いった方が正確かもしれない。
野次馬の中には「ほぉ〜〜〜」と感嘆の声を上げる
者もいた。
男の方も一瞬あっけにとられていた。
そして3回廻り男の前でピタリと止まり、、、
「わんッ!!!」 と『吠えた』。
その声に驚いた男は、バランスを崩してワタワタと手を振り
しりもちをつく。
途端に野次馬達が大笑いした、拍手をする者さえいる。
「、、、〜〜〜〜〜!!」
男は顔を真っ赤にして剣の柄に手を掛ける。
「テ テメェら〜〜〜 このオレを馬鹿にする気か!!」
その男の激怒する様を見て野次馬達は一斉に散る。
「もう勘弁ならねぇ! ブっころしてやる!!」
歯噛みをしながら剣を抜き、構える男。
「!!」
それを見て、少女の隣にいた女剣士も再び剣の柄に手が掛かる。
「ウヘヘ カクゴしろよぉ〜〜、、、、、、?
! アッッッチーーーーーーッッ!」
いきなり男が後頭部をおさえて叫んだ。
「??」
少女と女剣士はなにが起きたのかわからずキョトンとしている。
「テ テメェ!! なにしやがる!?」
男の視線を先には億泰の姿があった。
どうやら後ろからタバコの火を押し付けたようである。
「あ! アイツ! ほら さっき話してたヤツよ!!」
少女が指さして女剣士に話しかける。
「ふ〜〜〜ん そうは見えないけどねぇ、、」
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