『酒場』


酒場に着いた億泰は適当な注文をして窓際のテーブル
に座った。この王立酒場も今では静かなもので
建てられた直後のような活気は無い、もっとも
探索の禁が解かれればまた騒がしくなるであろうが、、
メシを食べ終わり、タバコに火を付けて大きく息を
はいて回りを見渡す。 そんな中一人の少女と目が合う。
あちらも億泰に気付くとこっちに向かって歩いてくる。
「、、、やれやれ、、」
億泰は彼女が何者なのかなんとなく想像できた。
「あ あの、、、」
テーブルのすぐ脇にまで来た少女がオドオド話出す。
「チームに入ってみる気、、、ありませんか?」
(やっぱりね、、、)
少女はチームの勧誘員だった。ここの酒場で一人でいると
大抵一人や二人こう言った者に会う。
億泰も来るたびに勧誘されていていい加減ウンザリしていた。
(コイツラしつこいからな、、、何かいい手ネェかな)
(、、、、!)その時億泰の頭の中の電球に明かりが付く。
「よければパンフレットなんかもありますけど、、」
少女はなにやらカバンの中をまさぐっている。
「、、、いいよ 入ってやるよ」
「え!! ほんとですか!?」
「いいよ だだしその代わり、、、」
ズイッと体をのりだして言葉をつなげる

「一発ヤらせな」

「!!!?      変態ッ!!」
言うが早いが平手が億泰をみまう
「おう!?」
間一髪身を引いて避ける。
「最低! 信じられない!」
それだけ言うと少女はテーブルから離れていった。
「、、、ちょっとマズったか、、、」
少し反省し、窓の外を眺める。
露店が立ち並ぶ通りの雑踏にさっきの少女を見つける。
未だ怒り冷めやらぬようで、連れらしきもう一人の
女がなだめている。

「もうっ なんなのよアイツ!」
「まぁまぁ そういきりたたないの」
そう言った女は剣を腰に下げている。どうやら剣士のようだ。
「あーーーもう 思い出しただけでハラ立ってきたわ!」
「ふぅ こりゃしばらくは治まりそうにないね、、、ん?」
女の目にした先には、店先の大根を噛る2Mもあろうかと
思われる大男と、その男に睨まれて縮こまっている露店商の
老人の姿だった。
「大変!」
少女も気付いたらしく老人の方へ駆け寄る
先ほどまでの怒りはもう無いようだった。
「あ まちなって! ゴタゴタはゴメンだってのに!」
駆け寄るを少女を追いかけるが間に合わない。
「大丈夫ですか? これ代金です。」
「え! あ! はい! どうも、、、」
キョトンとする老人。
そのまま立ち去ろうとする少女。
女が後から追い付いてなにやら言っている。
その二人の後ろから、さっきの大男が睨み付けている。

「まてや ネェチャン オレに恥をかかせる気か」



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