『戦士』


彼は養成所の中に入ると開口一番こう言った。
「コンチア〜 免許取りに来ました〜」
養成所内の訓練生を始め、すべての人間の視線が彼に集まる。
その後クスクスと笑う者多数。
「あ〜 君、要はライセンスを取りに来たって事なのかな?」
奥から大柄な男が出てくる。
「そ。 てっとり早く欲しいからさ さっさと試験なり
 なんなりやってくんない?」
「、、、、いいだろう オレも少しイライラしてる所だ
 誤って殺しても文句言うなよ? いいな!」
「お おお、、、、てぇかさ、なんか機嫌悪くない?あのヒト」
すぐ隣にいた訓練生に聞き出す億泰。
訓練生はこまった顔をしている。
「あ、、い いや その、、、」
「ジョーダンだって、ジョーダン なははは」
「なにを笑っている!? 行くぞ!!」
男が一足跳びに上段から木刀で斬りかかってきた。
「おわ!? いきなりかよ!!」
足元にあった木刀を拾いざま、男の斬撃を防ぐ。
そして防いだ瞬間、相手の木刀をなぎ払うカタチで真横に
木刀を振る。 そして、、、、、
それで勝負が着いた。
始め斬りかかって来た男は、億泰が木刀をなぎ払った時に
体ごともっていかれてしまい、壁に激突。あえなく気絶して
しまった。
「ああ! し 師範代!」
「しっかりしてください師範代!」
訓練生が駆け寄り必死に呼びかけるが、白目をむいたまま
動かない。
「ま こんなトコか、、、」
億泰はぼやくとなにやら紙を取り出してサラサラと書き出した。
「なぁ コレ あのオッサン目ぇさめたら渡しといてよ
 オレがいる宿だから、そこにライセンス持ってきてねって
 伝えといて。」
そういって訓練生の一人に紙を渡す。
「あ はい 解りました、、、それにしてもすごい力ですね。
 実は師範代、今月に入ってもう2人にアっと言う間やられてる
 ですよ。それでカリカリしてて、、、」
「ふ〜ん  まぁ 大体想像つくな」
昨日の宴の際出会った二人の騎士を思い出す。
「しかし ホントすごい力ですね!こういっちゃナンですけど
 武道家でも通用するんじゃないですか?」
「ん〜 ま イロイロと事情があるんでね。
 それに、オレとしては『騎士』と言うより『戦士』を
 めざすつもりなんでね」
訓練生の青年は「なるほど」と言った表情であいづちをうつ。
「じゃ ヨロシク」
そういって養成所を出る。
とっと様を済ませた億泰は、時計を見てまだ午前中だと
言う事に気付いた。
「まだ だいぶ時間があるな、、、メシでも食ってこ、、、」
億泰は王立の巨大酒場でメシを食うのが好きだった。
と言うよりも、億泰にとっては静かでも騒がしくても
一向に構わなかった。ただ、人間ウォッチングが好きな
億泰にとっては人は多いほうがよいに越した事はない。

「さて、、、、なに食おっかな」



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