『ー宴ー』


この白竜亭には地下室があり、主に倉庫として使われている。
その倉庫の一番奥にある隠し部屋が宴の場所であった。
億泰はその日魔術師らしき男と別れたあと、この宴のために
早めに就寝していた。
目が覚めるとドアの隙間に紙が挟まっており、その内容が
隠し部屋の場所と入るための『合い言葉』と気付くには
そう時間は掛からなかった。
そして今まさに隠し部屋の入り口と思われる壁の前に
億泰はいた。
「フゥー〜〜、、、」
ここまでくわえタバコで来たかはさだかではないが、
大きくタバコの煙を吐き出して壁をノックする、、、
そして壁に向かってこう言い放つ。
「いつもココロに皮肉と微笑みを」
扉とおぼしき壁はいとも簡単に開いた。
「ようこそ  宴へ」
その声の主は開いた扉の影にいた。
そう、昼間出会った魔術師らしき男である。
「、、、ヨォ」
どう返事をすれば解らなかったので適当に言葉を返す、億泰。
その隠し部屋は以外と広く、思いのほか明るくて地下室という
ジメジメした雰囲気は微塵も感じなかった。
その部屋の中には『億泰』『昼間の男』を含め
10人と居なかった。
「さて大体メンツも揃ったとこだし、まずは自己紹介から」
昼間の男が切り出す。
「、、、、(そういやコイツの名前も聞いてなかったな)」
億泰はそうボンヤリと思いながら、それぞれの闘狂狼メンバーを
それとなく見回す。
やはり億泰の予想通り、億泰が白竜亭に着いた直後
店の客に感じた『ただならぬ気配』を持つ者ばかりであった。

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

数時間後、気持ち良く酔っ払った億泰は階段から
転げ落ちそうになりながらも自室に戻り、ベッドに横たわり
窓から夜空を眺めている。

『こんな男達と戦えるのか』

億泰は死を忘れこの言葉に酔っていた。



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