『決着』


剛刀を振りかぶり
今まさに億泰が最後の攻撃に転じようとした時、
億泰は異変に気付いた。

疾駆する自分の背後から
高熱を帯びたモノが迫っている!

もちろん後ろを見て確認したワケではない、
肌が急激な温度の上昇を感じとったのだ。
そして、それが除々に大きくなっていく!!


マズイ!
なんだコレは!
避けられない!!


もう億泰は刀を振り下ろすために
両腕に力を込めた後だった。
横に跳んで避けるのは不可能だ!!

そして眼前に土竜の爪が迫る!!


「! これだ!!」


億泰はハラをくくった。
失敗すれば命は無い。

やるだけやって死ぬのは悪くはない
やらないで死ぬ事に比べれば、、、


億泰は思いきり剛刀を振り下ろす!
目標はまだ射程外だ。
あえなく地面に叩き付けられる刀。

そして億泰は
その叩き付けた反動を利用し天井近くまで跳躍する!
剛刀は右手に握られたまま。

土竜の跳躍した億泰を見逃してはいない!
しかし億泰の背後にあった高熱体に土竜が
気が付いた時には、
炎が土竜の全身を包んだあとだった。


ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


断末魔の悲鳴を上げて土竜が天を仰ぐ。

その天を仰いだ先にいたのは億泰だった。

「この傷 いい置き土産になったぜ!」

そう言い放つと刀を持つ右手を後方に下げ、
ありったけの力を右手に送る
そして、次の瞬間その右手はカタパルトの様な動きを見せ
刀と言うミサイルを射出する!

ズグンッ!

そのミサイルは断末魔の叫びを上げた土竜の口へと
投げ込まれ、脳幹を貫いた。
土竜は2・3度痙攣して、
まだゴウゴウと燃え上がる体のまま
その場に力無く崩れ落ちた。



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