『布石』
無視され怒りをあらわにした
土竜が地鳴りを上げながら詰めよる!
「ハッ こちとらテメェの弱点なんざ
先刻お見通しよ! せいぜい気を付けな!!」
億泰も剛刀を肩に担いだまま跳ぶ!
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どれほどの時が経ったのだろうか。
いまだ億泰と土竜の死闘は続いていた。
途中、甲殻の部分にも牽制の意味も含めて
斬撃を敢行したが予想通り弾かれた。
もし、億泰が並の剣で甲殻を打ち破ろうものならば
小枝のように折れてしまうだろう。
いまのところ億泰が全力で戦える武器は只一つ
特殊な鍛鉄を使った厚重ねのこの剛刀だけだった。
全身傷だらけでかなりの打撲もあったが
億泰の攻めるペースは落ちなかった。
的確に、そして執拗に土竜を攻めたてる。
何度か継ぎ目に斬り込む事もできた。
その攻めに対して土竜は、懐に入らせまいと爪を振る。
だがすでに息は切らし始めていた。
億泰が攻めの手を休め、離れた位置で土竜を見据える。
出血のせいでかなりフラつきはするがまだイケル。
土竜の息は荒い。
「ふぅーーーーーーー
ヤッコさん 息が上がってきたな、、、
ヨシ! ボチボチ決めるか!!」
今一度四肢に力を込め 土竜目掛けて猛進する!
今までは甲殻部分と継ぎ目しか狙っていなかったのは
これから攻撃する場所への警戒心を薄らげるための
布石だったのだ。
億泰は次で勝負を決めるつもりである。
ゴルルルルゥゥゥ
土竜が唸り、両手を広げ身を低くして億泰を
両目に捉える。
「いっくぜぇーーー!!
これで終まいだぁぁーーーーーーーーーー!!!」
足は止めずに
剛刀を大上段で振りかぶる!
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