『ハイ』


まさに『ハイ』の状態に億泰はなっていた。
それもナチュラルハイなどと言う生易しいものでは無かった

「うはははははははは なんだコリャァ!!?
   こんなに気持ちイイのぁ 初めてだぜコンチクショーめ!
 オーガズムだ! エクスタシーだ!!
 サイッコーにボッ*モンだぁーーーーーー!!!」
 
 以後、放送禁止用語を連発しながら
 次から次へとモンスターどもを斬り倒し、
 さらに洞窟最深部へと向かう。 

「うわはははは 喧嘩じゃーーー 喧嘩祭りじゃーーー!!」
もはや支離滅裂状態。
「おっしゃぁ お次は目玉のバケモンか!!
 死にさらせーーーーー!!」

ゴズンッ
 
久しく訪れる静寂。
巨大な瞳が描かれている壁画にめり込む男が一人。
しばらくして壁から顔を引きはがす。
「あ〜〜〜〜〜っと、、、、オレはいったい、、、
 なんであんなにハイだったんだ?」
自問自答を繰り返す内、あの薬がきっかけだった事に
気付く。
「やっぱ アレのせいだったのか、、、?
 ま イイヤ ちゃんと活きてるワケだし」
前言撤回 『稀代の大馬鹿者』だ。

「それにしても、、、」
回りをグルリと見渡し、、、
「ここが最下層みたいだな、、、、
 イヤぁ こんなに早く攻略できるなんて
 ラッキーだったな〜〜 
 あの薬も結果オーライってとこか」
ゴソゴソと荷物をまさぐり、タバコを取りだしながら
ケラケラ笑う。

「ふぅ、、、それにしても異様に疲れたなぁ、、、」
いましがた自分が激突した壁にもたれてズルズルと座り込む
それもそのハズ、あの薬は「狂乱の滴」だったのだ。
本来、あの薬を服用すると、あまりの気の高ぶりに
体がついてこれなくなり、やがて野垂れ死ぬと言うシロモノで、
今では一部の部族等が戦いの際、水で薄めて使用している
程度に収まっている。なぜそんな物がここにあったのかは
不明だが、それをストレートで飲んだしまった億泰が
「異様に疲れた」だけで済んだのはあまりに非常識であった。

タバコを吸い終えると首をコキコキと鳴らしながら
けだるそうに立ち上がる。

「さてと、、、そろそろマジメにお宝の探索でもしますか」

握った右手が「ギチリ」と鳴った。



『大馬鹿者』へ
『追跡』へ
メニューへ