1.Firstcontact
誰が地上を楽園と呼んだ?
この世は地獄だ。苦しみと痛みと恐怖が渦巻く。
「………っっっソッタレがぁぁぁ!!」
絶叫。だがそれもすぐに大音声にかき消される。
あちらこちらからあがる阿鼻叫喚の叫びやら喚き声やらによって。
「何だ何だ何だ何だ何だこれは!」
嘘だ。夢だ。
頭と胸の中がその言葉で埋め尽くされていく。
眼前に広がる異常な光景を前にして、精神が破綻し制御を離れ暴走を始めようとする。
ラグオルに降りたのは彼が-----らせつが最後だった。ハンターズギルドから一番離れた場所に居たのだから、当然そうなる。
それが幸いした。
まず降りて最初に目に入ったのが、赤い血飛沫だった。
次に悲鳴。そして信じられない事だが……千切れ飛んだ誰かの腕。
続いて血飛沫。次に悲鳴。そして千切れ飛んだ誰かの足。
続いて血飛沫。次に悲鳴。そして千切れ飛んだ誰かの首。
首。
「………あああああああああああ!!!!!」
精神の許容限界を超え、らせつは絶叫を迸らせながら眼前の………
眼前の「異形の化け物」へ向けて駆け出した。
『恐怖を消す方法はたったひとつ。それそのものをブチ壊すんだ』
かつて授かったその言葉が崩壊した彼の本能を動かしたのだろう。無我夢中でその化け物一匹をうち倒して、彼は脅威の大群の中にぽっかりと空いた空隙へと身を滑り込ませた。
気が付いた時、らせつは満身創痍ながら生き延びて、何処だか知らない場所に居た。
「誰が……」
「誰が地上を…楽園と呼んだ………?」
ここは地獄だ。
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