「お前はソート家に恥じない様にするだけで十分なのよ」
両親にそう言われて私は育てられた
その頃は、私もそうするように務めていた
「ソート家の人間でなきゃ誰もお前に見向きもしないんだよ!」
知り合いに罵られる時はいつもそう言われた
私は何も言葉を返さなかった
「本当にお前さんは気楽でいいな、居候みたいでさ!」
兄は機嫌が悪いときはいつも私にあたった
私は機嫌が悪くても何かにあたる事は出来なかった
「あんたと結ばれたからこうなったのよ!
この・・・死神!」
最愛の恋人、エリスが死んだ時・・・相手の親にそう言われた
愛していた人の事を言われた私は・・・
[・・・お前達に・・・・・・何が分かる・・・!]
・・・・・・何かが私の中で壊れた
とてつも無い吐き気、熱、そして憎悪・・・
・・・しばらくして正気を取り戻せば
そこには、紅くどす黒い色のペンキで
地面を塗りつぶしている者達が居た
もはや私の目は彼等を「人」と認識する事は出来なかった
それでも、私の中の憎悪だけは全く消えていなかった・・・
妙に冷静な気持ちで一切の家財を始末した私は
その金を持って放浪の旅に出た
気にすることは無かった
・・・あの家にはもう誰も居ないのだから
しばらく旅をしていた時に耳にした言葉「ロートス」
その「奇跡の花」と呼ばれた物は
世間の事を全く知らなかった私には
興味を持たせるに十分な代物だった
チューリピオに行こう、と思った
もう私には帰る場所も、無い・・・
例え帰ったとしても
恐らく兄や両親は永遠に許しはしないだろう
肉親の前に、自分達をこの世から消した存在なのだから・・・
そして私はチューリピオに辿り着いた
出会う島の人間達を見る度
何度も活気を感じることが出来た
今までは感じられなかった、明るく生気のある感情
[・・・そうか、これだったのか・・・]
それらの人達が遺跡を探索して生きている
「トレジャーハンター」だと知った時
私の中に、目標が生まれた
[トレジャーハンター・・・
私に何かを教えてくれるかもしれない]
そして今に至る・・・
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