『遭遇』 第一話
「大丈夫かい、坊やっ!」
そう言って俺を襲った触手の化け物を軽々と蹴散らす女剣士。
その剣技はとても鮮やかで
まるで踊りを舞っているかの様だった。
・・・それが、俺とその女騎士
レイラ・リンヴァースとの出会いだった
「大丈夫?ボク・・・」
「触るな!」
パシッ!
俺を苦しめた怪物をあっさりと退治したレイラは
倒れている俺に近づき、右手を差し出す。
・・・それを勢いよくはたく俺。
「元気は良いみたいねぇ、ふふふ」
「余計なことをしてくれたな・・・」
「あら、脇腹から血が出てるじゃない」
「放っておけばいいのに・・・」
全く噛み合わない会話が続く・・・。
そんな会話の中で、しかし俺は安堵感を感じていた。
「少し痛むけど我慢しなさいよ?男の子なんだからね」
「!?・・・何を・・・?」
俺がやけに重くなった頭を持ち上げてレイラの方を見ると
彼女は俺の体内の1/3程の血液がそこから流れ出たであろう
傷口に手を当て、なにやら呟いていた。
・・・そして俺は
痛みと引き替えに押し寄せた睡魔に身を任せた。
<続く>
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