『白竜亭』
「え〜っと ここ、、だよな、、、」
男は、手元の地図と目の前にある建物を照らし合わせながら
呟いた。男の名は億泰、その右手にはいつものモノが、、、
無かった。ここソルニアではロートスを扱った物は使っては
ならない法律があり、ギャインソーも国境で没収されてしまった
が、これから始まるであろう冒険の事考えると、
さりとて男にとってショックでは無かったらしい。
「こんちわー」
酒場であろう場所に入るには、およそ不適切な挨拶をして
中に入る、
「やぁ 億殿 ようこそ白竜亭へ」
そういいながら奥から男がでてきた。
普通こういう酒場は女将、もしくは看板娘がいると
相場が決まっているが、ここにはそんなモノなかった。
が、逆に億泰はそのストイックな部分が気に入った。
この店の店主である割には随分と若い男、『らせつ』とは
トレジャーハンター時代からの友人であり、新たな冒険の
舞台を、ここソルニアに移すべくお宝をすべて現金に替え
この白竜亭を建てた、行動力ある若者である。
「さっそくだけど億殿、『寄り合い』の名簿に登録して
もらえるかい?」
「ああ いいとも」
別段どのチームにも俗す予定はなかったので、
億泰は深く考えることなく、冒険者登録を済ませた。
登録を終え、店内を見回すと億泰はある事に気付いた。
「こいつら、、タダモンじゃねぇな、、、」
店の中には億泰を含め、客は10人と居ない。
だが、いままでトレジャーハンターとして数多の屈強のハンター
を見てきた億泰には、ここにいる客全員が並の冒険者では
無いことがハッキリと解る。
「へへ、、、」
おもわず小さな笑いが洩れる。
と同時にぶるっと武者振るいが億泰をおそった。
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