ちゃき!

銃を構え、撃鉄を起こす音。
それが聞こえた瞬間、頭の中に危険のシグナルが灯るーーーーー!

「だぁぁぁぁぁっ!!」

叫び、その場から跳びのく男。
黒髪、黒目。黒づくめ。メガトンナックル・・・・

続いて、爆発ーーーそして爆音。
強烈な威力が大地を削り、辺りを根こそぎ巻き込んで粉砕していく。
青い閃光。エネルダイナガン。

「くそったれ・・・! 手加減しろっての!」

攻撃力重視でチューニングされたエネルダイナガンは、
もはやボムネードクラスの破壊力だった。
一撃で体力の4分の1をかっさらっていく・・・。

反応など、ウデでどうにかなる、というのが、
彼女・・・姉の言い分だった。
ようは武器をうまく使うコトだと。

「ち、あそこか・・・」

物陰に潜み、『敵』の姿を盗み見る。
姉は海賊島の高台の上・・・こちらは廃屋の陰。

「狙い撃ちだな・・・こりゃ」

言って、嘆息する。
少しばかり無理をしなけりゃならないらしい・・・。
だが・・・

「やられっぱなしってのも、面白くねぇよな・・・!」

ざっ・・・!
土を蹴り、走り出す。
まっすぐ・・・高台の階段へと。

ちゃき!

あの音が聞こえる。
だが、気にせず走る。

ぽむ!

気の抜ける発射音。
ナックルをかたく握り締め・・・

どかあぁぁぁぁん!!

背後で、爆発音。
そしてまるで自分を後押しするかのような、爆風。
風に押されて・・・走る速度が増す。

階段は、目の前だ!

「よっしゃ・・・!」

次弾充填までは、かなりの間があるはずだった。
それがアレのウィークポイントであり、
威力を求めたコトへの代償でもある。

だんっ!

階段を駆け上がる。
姉の姿が、見えた・・・!

「トった・・・!」

叫ぶ。
口元に笑みを浮かべて。
そして跳躍しーーーーーーー右手をふりかざし、

「くらえ、必殺! 旋風剛拳!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

にやり、と、女が笑った。
すっと右手を背中に回し、止め具をハズすような仕草をする。
そして再び右手が現れた時、そこには光の刃が握られていた。


「甘いわね」


そのコトバを、らせつは聞き取ることができなかった。
すでに思考は停止し・・・
やがて来るであろう決定的な一撃に、脅えている。

女の手が動く。


ぶぅん!


・・・熾烈な兄弟ゲンカは、いつものように
姉の勝利で幕を閉じたのだった。


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