「よっしゃ! ゲットぉぉぉぉぉっ!!!」

歓喜の叫びをあげて・・・・すた、と着地する、黒づくめの男。
彼の手には何故か・・・メガトンピストンが握り締められていた。

「ふっふっふ・・・! 
『メガトンナックル100個作ったら空から神サマが降りてきて
貴方にゴッドナックルを授けてくれるでしょう!』
キャンペーン! あとナックル97個作りゃ、
伝説の最強武器、ゴッドナックルが手にはいるなんんてな・・・。
まるで夢のようだぜ!」

・・・らせつはいたって真面目である。
まるで子供のようにキラキラと瞳を輝かせ、
まだ見ぬ最強武器(?)に想いをはせている。
よく見ると・・・彼の懐には、幾つもの『メガトンピストン』が。

「神速の一撃は相手を紙クズのように叩き潰し、
シャボネはおろかダイナの弾すらも弾き飛ばす!
なおかつ使用者にはコブシ神の力が備わり、
こと接近戦では無敵になれるっつうスゲェ武器!!
ああ、はやく欲し〜〜〜〜〜!!!」

ブンブンとメガトンナックルを振り回し、身悶えするらせつ。

「さあ、あとはこのピストンをアジトに持って帰って・・・」


どかぁぁぁっぁぁぁん!!!!


爆発。
と同時に飛び散るピストン、ピストン、ピストン・・・
たくさんのピストン。
ぼて、と落下する黒コゲらせつ。

KO!

無情なるアナウンスが響く中、
山のように積まれたピストンに埋もれ、
らせつは冷えた涙を流していた・・・

消えゆく視界の片隅で、ピストンには目もくれず、
3色カギだけを回収していく敵ハンターの姿が見える。
それを見たらせつの深層に、静かな殺意が生まれていた。

(神サマ・・ブッコロス・・・)


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「なんだ、随分と楽しそうだな?」

問いかけられて、
ニコニコと本を読んでいた銀髪の女は顔を上げた。

「聞きたい?」

うふふ・・・と、心底嬉しそうな笑みを浮かべ、
女が答える。

「大方、またらせつにちょっかいかけたんだろう?
聞かなくてもわかるさ」

「わかる? 
ちょっとね、いいオハナシを教えてあげたの♪」

言って、女・・・ユミルは、持っていた本をテーブルに置いた。

そのラベルに目をやると・・・


『月刊・チューリピオの秘宝
ハンターは見た!
ジャングルの奥地に潜む、鉄拳人種の村!
恐るべき戦闘民族の聖地に踏み込み
その時探検帯の見たものとは!?』


「また、そんなヤラセ雑誌を・・・」


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