『旅立ち』 ☆第九話☆
エリナはしばらく黙っていた
今きっと彼女は暗い過去を思い出しているのだろう
ジュドーはそれが痛いくらいわかった
「それで、君は何故あそこに?」
エリナはハッとした様子で
思い出に呑み込まれていたことを気づいた様だった
「君を助けたのは あそこにはいったきり出てこないものが多く
出てきた者がいうには <あそこにはドラゴンがいる、かなりの人が死んでた>
っていったの、それで私は腕試しに行ってみたら、君がいたってわけ」
「腕試し? 一人で危ないとは思わなかったのかい?」
「あいにく誰かの力を借りるほど弱くはないわよ
それに、誰か連れて行っても足手まといになるだけよ」
エリナは笑ってそう言った
しかし、ジュドーには それは強がりにしか見えなかった
「また、あそこにはいくのか?」
「ええ、またいくつもりだけど・・・・どうしてそんなこと聞くの?」
「そうか・・・連れていくのは強いやつじゃないと、ってことだよな?」
オレは他人と仲良くなるのは嫌だった
まだ自分には大切な物を守る力がないとわかっていたから
しかし 共通した何かを感じたからか、ニーナに似ていたからか
あるいは別の・・・・何はともあれ・・・
「それなら君の命を救った オレと一緒にあそこへいかないか?」
と、自分でも信じられないこと言ってしまっていた
<完>
☆第八話☆へ
メニューへ