『序章』 第一話


灰鼠色の空、
常に湿度40オーバーの大気。
それがこの国、グレイフィシュの特徴。
   ・
   ・
   ・
『ぅえ〜〜っとォ・・・、ヌルドラさーん、6番診室ドーゾーーオ』
更に追加。看護婦の態度が不遜な国、グレイフィシュ。

オレがこんな消毒液と腐肉臭ェところにいるのは、ある奇病の為。イヤ、病と言っていいのかワカンネー。
とりあえず『奇』。

半透明のスリガラス越しに医識者が問いかける。

『病状は?』
「火」
『火?』
「エエ。火がね、とまんないでスよ。こう、ボオオッて」
『ハァ?』

追加追加〜。医者のリアクションの冷たい国、クソグレイフィシュ。
オレの『炎』は薄汚い純白のガラス板越しにもみえているハズだけどどーせ『アタマオカシー奴の冷やかしだろ?』とでもおもっていらっしゃりやがるんでしょウ。

『・・・・で、僕は精神科の方に連絡を通しておけばイイのかな?』

ホラね。

で、オレは左のローハーを脱ぎながら
「先生、ちょっと下がって頂けますー?」と。
そういわれてソイツは、目にみえる程の濃ゆい疑問符をフキダシに浮かべつつも、50cmほど椅子をひく。

・・・・・・ひュ!
『『ガッシャ〜〜〜ン』』

ガラスは散り、彼は自分の革靴を左手にもち自分をみすえる男を見る。
悲鳴を上げそうになる顔を掴み、人指し指を近付ける。
そこには間違いなく炎がともっていた。

「先生、治ります?」

   ・
   ・
   ・
『ヌールドーラサ〜〜ン。おっ会計ぇーデース』

その日の収穫
  診察料   −2000Y
  ガラス代  −8000Y
  迷惑料  −60000Y

   計   −70000Y

後、魔術先進国『ソルニア』の全医院及び病院への紹介状。
『この者、ジョークス=ヌルドラの治療を貴院に依頼する。』



第ニ話へ
メニューへ